誰も予想できなかった1990年以後、アメリカで犯罪が激減した理由 ~ヤバい経済学を読んで~
インセンティブとは
やる気を起こさせ、行動を誘発する刺激のこと
経済学とはインセンティブについて考える学問だと言い換えられるかもしれない。
P.20人は自分のほしいものをどうやって手に入れるか、とくに他の人も同じものが欲しいと思っている時どうするかを考えるのが経済学だ。
インセンティブというのは、ものでもいいし、お金でもいいし、命の危険など、そういったものもインセンティブになりうる。
例えば、私たちは犯罪を犯したあとに罰せられることが抑止力になるはずだと思っている。
けれど、以下の話を読むとそうはならない状況が存在することがわかる。
1990年代のアメリカはどの都市でも犯罪が増える一方だった。しかし、そのあとノーマ・マコーヴェイが起こした裁判の結果によって、犯罪が激減することになる。
彼女の裁判によって、中絶が全国的に合法になったからだ。
P.5犯罪に関する限り、子供は生まれつき平等ではない。家庭環境の悪い子供は罪を犯す可能性がずっと高い。中絶を試みる女性は貧しい未婚の女性たちで、もし彼女たちの子供がうまれていれば、普通より罪を犯す可能性が高かったはずだ。
P.146
全国の死刑囚で見ても、一年間でたった2パーセントしか死刑は執行されていない。ブラック・ギャングスタ・ディサイプル・ネイションのクラックの売人は一年間に7パーセントの確率で死ぬことと比べてほしい。〜死刑になるかもという心配で犯罪者の頭がいっぱいになるとはとても思えない。〜死刑という負のインセンティブは大したことなさすぎて犯罪者に態度を改めさせるには全然足りない。
つまり、犯罪によって受ける罰よりも、いまこの瞬間を生きるために何もしないことから引き起こされるリスクが釣り合ってしまった時、逆転してしまったとき、犯罪がおこる。
私たちのようにのんびり平和な生活を送ってる人間が想定する罰というのは、罰ですらなくなるという可能性に気づかされ、驚かされた。
日常生活で、人をある一定の方向に誘導したい(仕事を手伝って欲しいとか、無茶なことをやめてほしいとか)願望を持った人が、相手の立場をに立って考える訓練のために一度読んでみるべき内容だった。
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ストレスがたまると太ってしまう理由
私たちはストレスの多い日ほど、ジャンク・フードを食べてしまったり、夜遅くに甘いものをつい食べてしまったりする。
これは、私たちの脳の衝動的側面と合理的側面はたがいに影響し合う事から引き起こされるらしい。
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研究結果からより一般化すると、
P112脳内の熟慮的思考を司る部位が占有されているとき、誘惑に負けやすくなる
つまり、
何かで頭がいっぱいになっていると、誘惑に抵抗する認知的余裕がなくなって、誘惑に屈しやすくなる。
ということ。
例えば、難しい数列を復唱し続けた人と、ただ歩いていただけのひとでは、前者のほうがフルーツよりチョコケーキを食べる傾向がみられた。
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この誘惑に抵抗する力が、繰り返し使われるうちに消耗するという現象はロイ・バウマイスターによって「自我消耗」と名付けられている。
これは食べ物に限らず、自制心を必要とするすべてのタスクに当てはまる。
先に述べたように、帰りたいという衝動を自制し、おそくまで残業した日は、甘いものを夜中にたべたりといった代替の快楽衝動が引き起こされる。
元ネタを忘れてしまったのだけど、常に甘いものを食べながら、数式と向き合っていた有名な数学者で、友人の男性研究員に食べ過ぎを注意されても「食べるのをやめたら、数学ができないじゃない」と言った人がいたらしい。
強い自制心を必要とする数学と、長時間、真面目に向き合おうとすると、「食べる」という快楽のリミッターを外さなければならなかったのかなと、以前に読んだこのエピソードを思い出した。
強い自制心を必要とするなにか大仕事をやってのけるためには、時々自分を甘やかして、ちょっとした目先の誘惑に負けてみるというのも大切で、案外、日頃の自分へのご褒美というのはデキる人への第一歩なのかもと思った。
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