自閉症とサイキックは究極の男脳と女脳なのか? 〜サイモンバロンコーエンの著作を読んで〜
EQ 感情的知能
SQ システム思考的知能
というものがある。
これらの知能はどちらも高い人というのはなかなかおらず、一般的にはトレードオフの関係にあるらしい。
たとえば、SQが高い人は数学の問題を解くのが得意だけど、現代文の物語文を読んでも登場人物の心情を察するのが苦手だったりする。
その逆も多い。
サイモンバロンコーエン先生によると、これらの知能のどちらに比重を置いているかの傾向には男女差が存在するらしい。
一般的に、男性がSQが高く、女性がEQが高い。(ただし文化・国による違いあり)つまり、最初の数学が得意というか好きなタイプは男に多い。
ただ、これは分布の形の問題であって、最も優れた女性数学者が最も優れた男性数学者に劣るというような主張ではないので、この主張を根拠に、ある個人を指して、「あなたは女性だから、数学者として一流にはなれない」などというのは間違っている。ただ全体的にどうもそういう割合になっているらしい。
おそらくは、男性ホルモンにどのくらいさらされたかが鍵になっているらしいけれど、沢山さらされればいいというような単純なメカニズムだとも言えないらしく、いまだによくわかってないらしい。(男性ではテストステロンという男性ホルモンが中程度の群が1番SQが高くなるらしい)
この知能が極端に偏った人間というのは探せばいるわけで、それはサイモンバロンコーエン先生によると、究極の男脳は自閉症で、究極の女脳はサイキックか占い師なのではないかと記されている。
確かに、自閉症というのは私たちがコミュニケーションと呼んでいるものが苦手だったり、相手の心を読むのが苦手だと言われている。しかし、ある種のシステムの理解には並外れた能力を発揮したりすることが報告されている。たとえば、暦の法則を理解して、何年も先の曜日を言えたりといったもの。
一方で、サイキック・占い師といった職についている人たちは、本人を見ただけで、考えていることがわかってしまったりする。普通の人から明らかに逸脱しているから、奇妙な感じがする。
けれど、私たちも表情からその人の考えてることがなんとなくわかったりする。結局誰もが持ってる能力が極端になっているだけなのだろうという考え方らしい。
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誰も予想できなかった1990年以後、アメリカで犯罪が激減した理由 ~ヤバい経済学を読んで~
インセンティブとは
やる気を起こさせ、行動を誘発する刺激のこと
経済学とはインセンティブについて考える学問だと言い換えられるかもしれない。
P.20人は自分のほしいものをどうやって手に入れるか、とくに他の人も同じものが欲しいと思っている時どうするかを考えるのが経済学だ。
インセンティブというのは、ものでもいいし、お金でもいいし、命の危険など、そういったものもインセンティブになりうる。
例えば、私たちは犯罪を犯したあとに罰せられることが抑止力になるはずだと思っている。
けれど、以下の話を読むとそうはならない状況が存在することがわかる。
1990年代のアメリカはどの都市でも犯罪が増える一方だった。しかし、そのあとノーマ・マコーヴェイが起こした裁判の結果によって、犯罪が激減することになる。
彼女の裁判によって、中絶が全国的に合法になったからだ。
P.5犯罪に関する限り、子供は生まれつき平等ではない。家庭環境の悪い子供は罪を犯す可能性がずっと高い。中絶を試みる女性は貧しい未婚の女性たちで、もし彼女たちの子供がうまれていれば、普通より罪を犯す可能性が高かったはずだ。
P.146
全国の死刑囚で見ても、一年間でたった2パーセントしか死刑は執行されていない。ブラック・ギャングスタ・ディサイプル・ネイションのクラックの売人は一年間に7パーセントの確率で死ぬことと比べてほしい。〜死刑になるかもという心配で犯罪者の頭がいっぱいになるとはとても思えない。〜死刑という負のインセンティブは大したことなさすぎて犯罪者に態度を改めさせるには全然足りない。
つまり、犯罪によって受ける罰よりも、いまこの瞬間を生きるために何もしないことから引き起こされるリスクが釣り合ってしまった時、逆転してしまったとき、犯罪がおこる。
私たちのようにのんびり平和な生活を送ってる人間が想定する罰というのは、罰ですらなくなるという可能性に気づかされ、驚かされた。
日常生活で、人をある一定の方向に誘導したい(仕事を手伝って欲しいとか、無茶なことをやめてほしいとか)願望を持った人が、相手の立場をに立って考える訓練のために一度読んでみるべき内容だった。
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