衝動買いをやめるには -目で見て初めて気付く自分の欲求-

衝動買いやタバコやお酒、薬物に対する依存症など、あなたの身を滅ぼしかねない行動は何によって引き起こされるのでしょうか? 今回は、そんな行動が引き起こされる原因とどうやったら防げるのかについてお伝えしたいと思います。

レジ前のお菓子の誘惑

レジに並んでいると、ディスカウントされたお菓子がふと目に入り、後ろに並んでいる人が気になって、急いでカゴに入れてしまう…。 家に帰ってから、そんなに欲しくなかったのに…、これを食べたら太りそうだな…と思いながら食べるなんて経験はないでしょうか? 2018年12月にこういった衝動買いに関する興味深い研究が発表されました。 レジ前にお菓子を陳列するのをやめたところ、お菓子の売り上げが2割近くも減ったそうです。 つまり、見なければ不健康を引き起こすような行動を回避できるのです。 こういった研究結果をうけて、イギリス政府は、身体にとってよくない糖分・脂分の多いスナック菓子のレジ前陳列を廃止し、国内の肥満解消を目指そうという動きまであるそうです。

見ることは薬物依存のトリガーにもなる

また、アルコール中毒、ニコチン中毒、薬物中毒を治療している人にとっても「見る」ことは、快楽や欲求が蘇るきっかけになります。 薬物乱用防止のポスターを見たことがある人は多いと思いますが、最近のポスターには薬物そのものを示す錠剤や注射器などの絵や写真があまりのっていないことに気づいたでしょうか? それは、薬物依存の患者さんは、薬物そのものだけではなく、薬物を溶かすために使っていたペットボトルの水、よく注射をするのに使っていたトイレなど関連するものを見ただけで薬物に対する欲求が復活してしまうからだそうです。 マトリズムという麻薬取締官を描いたマンガにも、見てしまったり、聞いてしまったりしたことで再び薬物に手を出してしまう人のエピソードが載っています。

欲求に負けるのは意志の強さとは関係ない

もし、あなたが「自分には意志の強さがないから欲求に負けてしまう」と思って、自己嫌悪しているのなら、少し考え方を変えてみてもいいのかもしれません。 これまでに紹介した研究結果から言えば、意志の力を高めなくても、悪い誘惑を目に入れなければいいだけの話だからです。 痩せたいなら、コンビニに行く回数を減らし、お菓子をすぐ目につくところに置かない。 タバコをやめたいなら、喫煙所が目に入らないルートを通り、タバコは机など目に入らないところにしまう。 そういったことで、解決の糸口をつかめるかもしれません。 参考文献 Supermarket policies on less-healthy food at checkouts: Natural experimental evaluation using interrupted time series analyses of purchases