ハーモニーあらすじ

伊藤計劃さんのハーモニーの小説版のあらすじと感想です。 ハーモニーは、虐殺器官の続編にもあたる作品で、大災禍メイルストロムのあとに続く、究極に幸福な社会が実現されるまでの物語です。

痛みも苦しみもない世界

メイルストロム後の世界では、watch meとよばれる機械を体に埋め込み、そこから放出されるメディモル(医療分子)によって、つねに体が健康に保たれるようになっています。 体が痛みや苦しみから解放されたことで、思いやりにあふれた共同意識を持った人間ばかりの社会が実現されています。 主人公のトァンは、社会に対する敵対意識と憎悪を抱くミァハやキアンと親しくなるうちに、脅威が全くない世界に住むことと引き換えに、常にwatch meによって、監視される世界に疑いを持つようになります。 一方で、トァンは自分の父親がwatch meの開発に深く関わっていたことを知り、 ミァハとトァンとキアンは自分たちの体が社会のものではなく、自分たちのものであることを証明するために自殺することにします。 体が栄養を吸収しない錠剤を飲み、餓死しようとするのです。 自殺は失敗し、ミァハ以外の2人は生き残りますが、主人公のトァンはミァハが死んだ後もミァハのカリスマ性の影響から逃れることができずに成長します。 もしミァハが生き残って社会に適応していたらこうなっていただろうという姿を目指して、あえて危険な紛争地域での仕事を選び、自分の体を酒やタバコなどで痛めつけます。

大量自殺事件

トァンが赴任先の紛争地域で飲酒や違法薬物に手を染めていたことが発覚し、戒めのために、日本へ送還されます。 日本に帰り着いて、ひさびさに再会したキアンと昼食を取ることになります。 なんの前触れもなく、キアンが突然「ごめんね。ミァハ」と呟き、ナイフを自分の首に突き刺すことで、トァンの目の前で自殺をしてしまいます。 自殺の兆候など見られなかったキアンが突然亡くなったことに衝撃を覚えるトァンですが、キアンがなくなったのと同時に世界中のwatch meを埋め込んでいた人々が何にもなくなっていたことを知ります。

watch meを介した自殺幇助事件

watch meから放出されるメディモルはは脳血液関門を通れず、watch meによる思考操作はできないというのが一般認識でした。 しかし、その大前提が崩れるような大量自殺事件が発生し、主人公はその事件解決のために奔走し始めるのです。

 

伊藤計劃さんは若くして亡くなっており、こちらの作品は数少ない本人が書き上げた完成している長編の一つです。

 

 

ハーモニー

ハーモニー

  • 発売日: 2017/04/22
  • メディア: Prime Video